中島恵美

活躍している先輩の声 中島恵美 出身大学:東京藝術大学 15歳で始めたリコーダーで、東京藝術大学へ

プロフィール

東京都出身。東京藝術大学音楽学部器楽科リコーダー専攻卒業、2014年度同大学より「安宅賞」受賞。2015年よりフランスへ渡り、2018年リヨン国立高等音楽院CNSMDL古楽科にて、フランス国家資格である演奏家ディプロマを取得。 その後同音楽院修士課程に進み、2020年に修了。2022年度にフランス音楽芸術著作権管理協会アダミより奨学金を授与される。2023年にはデュオ「イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ」初のCDアルバム「スプレッツァトゥーラ」をリリース。

音大受験を決めた頃の思い出はありますか?

クラシック音楽好きの父の影響で、昔からクラシック音楽を聴くのも好きでしたし、演奏の方は小学生でオーケストラ部に入り、フルートを弾いていました。中学生の頃にリコーダーでバロック音楽を演奏しているCDを聴いたのがきっかけで、リコーダーと古い音楽に興味を持ち、中学3年生の夏ごろからリコーダーの個人レッスンに行くようになり、それが楽しくてのめり込み、高校に入る頃には将来はリコーダーを仕事にしたいと思うようになりました。楽器の習い始めも遅かったですし、楽譜も大して読めなかったので、最初はまさか自分が東京藝術大学を目指せるとも思っていませんでしたが、リコーダーの先生が「リコーダーで受験するなら藝大を目指そう」と言って下さり、それなら挑戦してみようと思いました。

東京ミューズ・アカデミーにまつわるエピソードを教えてください

藝大を受験することになって、ソルフェージュが何のことか良く分からなかったため、ネットで調べてミューズに通うことにしました。
初めてのことばかりで、最初のうちは何もかも思ったように出来ず、悔しくて泣きながら帰った日もありました。しかし先生方の根気強いご指導のお陰で少しずつ出来ることも増え、さらにソルフェージュで学んだことがリコーダーの勉強ともリンクしているのが分かってくると、取り組むのがどんどん楽しくなっていきました。
受験の本番は緊張しましたが、ミューズで学んだ成果を発揮することができ、幸運なことに現役で合格することが出来ました。ソルフェージュの力は音楽を学ぶ上でとても大事な能力なので、それを基礎として藝大やフランスの音楽院の授業について行くことができ、現在の仕事でもミューズでの学びが大きな助けになっています。
さらに、ミューズでは共に学ぶ仲間がいたのも、良い刺激になりました。現役科だったので普段のレッスンは個人レッスンでしたが、講習会やミューズ・コンサートで他の生徒さんたち交流することができ、専攻は異なっていても音楽の道を目指す友人同士で切磋琢磨することが出来たのは、とても心強かったです。

現在の活動状況を教えてください

現在はフリーランスのリコーダー、フラウト・トラヴェルソ(フルートの先祖にあたる楽器)の演奏家、そしてそれらの楽器を教える先生として活動しています。
演奏家としては、リコーダーもトラヴェルソも古い時代に使われていた楽器なので、主に中世からバロック時代の古い音楽の演奏活動をしています。チェンバロとバロック・ハープ奏者の曽根田駿とのデュオ「イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ」を中心として活動していますが、様々な古楽器とのアンサンブルの演奏会で、関東以外の地域でも演奏することもあります。リコーダーもトラヴェルソも、時代によって形や構造が異なるため、できる限り演奏する曲の時代に合わせた形の楽器を用いたり、歴史的資料から読み解いた奏法を試してみたりしながら、研究と演奏を両方行っていく活動は刺激的で、学生を終えた今でも学ぶ喜びを感じることが出来ているのは、古楽器ならではの魅力だと感じています。
楽器の先生としては、リコーダーとトラヴェルソの個人レッスン、アンサンブルレッスンを行っています。ほとんどは自宅レッスンとオンラインレッスンですが、月2回ずつ音楽教室とリコーダーアンサンブルのグループの指導に出ています。
また、リコーダーは教育楽器としても広く使われているため、子供たちや学校の先生向けの演奏や指導を行う他、不定期ですが、昔の作曲家や理論家の残した、歴史的資料から読み解く演奏法に関するオンライン講座も行っています。レッスンや講座の受講者の年齢も興味も幅広く、それぞれの目標に合わせた指導法や課題を考えるために、私自身も新しいことを学び続けることの重要さを感じる日々です。

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