石飛清司

活躍している先輩の声 石飛清司 出身大学: 人生に失敗なんて文字は存在しない

プロフィール

島根県出身。出雲北陵高等学校普通科音楽コース卒業(特待生)。
第31、第32回島根県高等学校音楽コンクール管楽器部門第1位(2年連続)。第10回中国ユース音楽コンクール木管楽器部門最優秀賞受賞。
1997年3月、海上自衛隊に入隊。呉音楽隊、舞鶴音楽隊及び横須賀音楽隊を経て、現在は東京音楽隊に所属。
これまでにサクソフォンを、桑原雅次、冨岡和男、平野公崇、宗貞啓二の各氏に師事。

音大受験を決めた頃の思い出はありますか?

 出身高校が音楽コースだったので、高校へ入学した時から芸大受験を視野に入れていましたが、現役受験に失敗してしまいました。
高校の担任に相談したところ、予備校に通う提案をされ、友人の紹介もあって1年間ミューズ本科に通うことを決めました。
 しかし、浪人中、「これ以上浪人という時間を過ごすわけにはいかない」、「自分をどこまで高めれば確実に合格圏内に入るのか」を真剣に考えるようになり、子供の自分では全く答えが出せず、どうするのが正解なのかわからなくなってしまいました。その結果、1年間考え続けた思いが本番で恐怖に変わり、思い描いていた結果には繋がりませんでした。とても長くて辛い1年でした。
 失意のうちに地元に戻った自分でしたが、たまたま自衛隊の音楽隊の方に演奏を聴いていただく機会があり、今年、音楽隊を受けてみてはどうかと勧めてくださった事がきっかけで現在に至ります。演奏できる場所があるありがたさ、人様から拍手をいただける人生にとても幸せを感じています。

東京ミューズ・アカデミーにまつわるエピソードを教えてください

ミューズ本科で知り合った同期とは今でも頻繁に連絡を取り合っています。
つい先日も、中学校で教鞭をとる同期にレッスンを依頼され、彼が顧問を務める部活動で学生に教えてきましたし、いつも演奏会に足を運んでくれる同期もいます。心の内こそ辛く感じていた一年ではありましたが、休み時間に声楽の子から発声のアドバイスをもらったり、グルメの話をしたり、音楽観を語り合ったり、休日に誰かの家で鍋をしたり。同じ境遇の仲間と楽しく切磋琢磨して過ごした日々は、いつ噛み締めても味のするような私の宝物です。
もちろん、各講師の方々からいただいた優しくも厳しい教えは今でも自分の糧ですし、作曲や弦楽器専攻の人達と一緒にソルフェージュのハイクラスで自分の限界に挑戦した日々も大切な思い出です。芸大に合格こそしませんでしたが、それを上回る人生にしてみせたい野心、ミューズに恩返しをしたいという思いがずっと私の原動力です。
30年経っても色褪せないあの時間は、これからも大切にしていくと思います。

現在の活動状況を教えてください

私は、東京都世田谷区に所在する、海上自衛隊東京音楽隊に所属しています。
東京音楽隊は、国家の重要な儀式・式典での演奏を担っているほか、国内外で行われる国際的な行事にも参加しており、2019年には今上天皇陛下御即位に際し「祝賀御列の儀」に奏楽部隊として参加し、演奏を行いました。また、海上自衛隊が毎年実施している遠洋練習航海にも何度か参加し、世界各地の港を中心に音楽を通じた国際親善にも努めました。
2019年6月には、カナダで開催されたロイヤル・ノバスコシア・インターナショナル・タトゥー(国際軍楽祭)に招待され、私自身も参加し演奏を披露しました。
同タトゥーでは、日本人らしい緻密で精巧な演技構成が非常に高く評価され、「日本という国に興味を持った」という言葉を観客から直接頂けたことにこの上ない喜びを感じましたし、海外の方々へ日本の技術の高さをアピールできたことで私自身も仕事に対するプライドを再確認しました。海外の方々が日本という国に興味を持つきっかけを作れたことや、私自身も海外の軍楽隊と一緒に大きなものを作り上げ、互いに喜び合えたことは、素晴らしい経験になったと同時に、大きなやりがいを感じた仕事でした。
今後も海外での活動、日本の魅力や素晴らしさを海外に発信できる機会を大切にしていきたいと思っています。
海上自衛隊東京音楽隊公式ホームページに過去の演奏動画、また、演奏会情報を随時アップしております。演奏会にもぜひ足を運んでいただきたいです。

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